1piece チョコレートな夜の始まり

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東条さんの指が、今度は、先程のグラフの隣に表示されている資料を指す。 「あっ……ほんとですね!」 指摘通り、比較してみると確かに間違っていた。 「す、すみません……!すぐに直します!」 残業の口実とはいえ、ちゃんと作ってたはずなのに。 よりによって、東条さんに間違いを指摘されるとか。 私は、どんだけ馬鹿なの……! またしても、自己嫌悪に押し潰されそうになりながら、私が、パソコンのマウスに手を伸ばしかけると。 私の手が掴むより速く、東条さんの指先がマウスに触れた。 「君が直すと、また時間が掛かりそうだ」 そう言って、東条さんは、マウスを素早く動かした後、パソコンのキーボードを私の倍の速さで、打ち込み始める。 しなやかに動く東条さんの指先が、私の作った画面を綺麗に塗り替えていく。 その仕事の速さ、的確さに、心打たれながらも。 私は。 ちょっとだけ、不謹慎な妄想をしてしまった。
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