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「今日が、何の日か知ってますか?」
もうあと少しで、日にちが変わってしまう。
それまでに渡したい。
「今日ですか」
東条さんは、少しだけ考えるような素振りをした。
「社のイベントなど、ありましたか?」
え……。
まさか、バレンタインって気づいてない?
「か、会社とかじゃありませんっ。もっと……世界規模のイベントです!!」
「世界規模、ですか?」
東条さんが、訝しげに言った。
……また、馬鹿をやっちゃったよ。
なに、世界規模とか。
ボキャブラリーまで、馬鹿っぽいよ。
もう、ここまで来たら、ストレートに言っちゃえ。
「今日は……バレンタインです!」
ただ、そう告げただけなのに、顔がすごく火照った。
「ああ、そう言えば、そうでしたね」
相変わらず、落ち着いた声で東条さんが言う。
この反応からして、バレンタインなんかに全然興味ないことが分かった。
もう、どう転んでも、玉砕しかないよね。
でも、今までずっと想ってきた気持ちだけは渡したいよ。
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