1piece チョコレートな夜の始まり

14/39

488人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「今日が、何の日か知ってますか?」 もうあと少しで、日にちが変わってしまう。 それまでに渡したい。 「今日ですか」 東条さんは、少しだけ考えるような素振りをした。 「社のイベントなど、ありましたか?」 え……。 まさか、バレンタインって気づいてない? 「か、会社とかじゃありませんっ。もっと……世界規模のイベントです!!」 「世界規模、ですか?」 東条さんが、訝しげに言った。 ……また、馬鹿をやっちゃったよ。 なに、世界規模とか。 ボキャブラリーまで、馬鹿っぽいよ。 もう、ここまで来たら、ストレートに言っちゃえ。 「今日は……バレンタインです!」 ただ、そう告げただけなのに、顔がすごく火照った。 「ああ、そう言えば、そうでしたね」 相変わらず、落ち着いた声で東条さんが言う。 この反応からして、バレンタインなんかに全然興味ないことが分かった。 もう、どう転んでも、玉砕しかないよね。 でも、今までずっと想ってきた気持ちだけは渡したいよ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加