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「すみません……。こんなの押しつけられても……迷惑ですよね……」
涙が込み上げてきて、目の端から溢れそうになるのを我慢しながら言う。
(菜々美……玉砕したよ)
心の中で、いち早く菜々美に報告して、出したばかりのチョコレートの箱を鞄に仕舞おうとした。
その時……。
不意に、東条社長の腕が、すっと伸びてきて。
彼の手が、私の手に重なる。
予想外の行動に、私の胸がドクンと波打った。
触れられた指先から電流が走って、胸の鼓動と絡み合う。
「これは……ラッピングからして、手作りですよね?」
東条社長の言葉に、私は涙目のまま、ゆっくりと少しだけ頷く。
「こんな風に時間もかけて……気持ちも込めた贈り物を受け取らないのは、申し訳ない。だから……こうしませんか?」
次の瞬間、いつもの冷静な表情とは、どこか違う……艶やかな微笑を浮かべて、社長が言ったのは意外な言葉……。
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