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(こ、ここから先は……どうしたらいいの?)
私だって、恋愛経験が全然ないわけじゃない。
でも、こんな展開生まれて初めてで。
どうしていいのか、分かんないよ……。
「あ、あの……っ、東条さん……わたし……!」
何も言わずに見上げてくる闇色の瞳に、掠れた声で私が言いかけた、その時……。
『♪♪♪♪♪♪♪♪♪』
フロアの静寂を破って、鳴り響くアラーム音に、私はビクリと体を震わせた。
「あっ……す、すみません!」
そう謝って、私は社長の膝の上から下りると、自分のデスクに置いてあったスマホのアラームを消す。
午前0時まで待って、東条社長が来なかったら、諦めて帰るためにセットしたアラームだ。
まさかこんな形で、このアラームを聞くとは全く予想してなかったけど……。
「日付が、変わりましたね」
背中越しに響いてきた声に、少しだけ静まっていた鼓動が、また激しさを増す。
「は、はい……」
振り向くことも出来ないまま、小さく答える私。
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