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「話を聞いた感じだと……どう考えたって、女慣れした人だよ」
菜々美の直球な言葉に、心がズキッと痛む。
「結衣が自分に気があるのを知って、どうすれば、結衣が落ちるのか分かっててやってる……。たぶん彼は……恋愛を遊びとかゲーム感覚で楽しめる人」
そこまで言うと、菜々美はグラスの水を一口飲んだ。
「ねぇ、結衣。そんな相手と、上手く恋愛出来るの?最後に傷つくだけじゃない?」
私は、あの夜の東条さんを思い浮かべる。
……舞い上がっていた気持ちに、冷たい水をかけられたようで悲しいけど、菜々美の言うことは間違ってないのかもしれない。
「ごめんね、結衣。キツいこと言って。でも、結衣には、傷ついて欲しくないんだよね」
その後、小さく「私みたいに……」と言った菜々美。
「え……?」
聞き返したけど、菜々美は何も答えないから、それ以上聞くのは止めて、私は言う。
「心配してくれて、ありがとう、菜々美。でも、私……」
テーブルの上のスマホをぎゅっと握った。
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