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僕には幼い時から不思議な能力があった。人の死期がわかるのだ。恐らく、幼稚園の時には既にその能力はあったと思う。
目眩と吐き気。ザッピングする風景。目の前の人は自殺するのか、殺されるのか…。誰にどんな風に…。そんな風に僕には人の死が視えた。
死期の近い人が僕の前に現れると決まって起こる現象である。
それがとうとう僕の前にやってきた。朝、鏡の前で歯を磨いていたら突然僕自身の死期が見えたのだ。
高校デビューの日。ちょっぴり大人に近づいた高揚感とこれから始まる新生活への期待が一気に削がれていく。
なぜ、僕は近い将来この世から消えねばならないのか。
その理由はこの能力のせいですぐにわかった。
僕はいじめに遭うのだ。
そして確実に自殺へ追い込まれる。
僕の血塗られた哀れな亡骸をアイツらは嘲笑いながら写メで撮っている。
死んでまで僕は晒し者になるのか。そんなのは絶対に嫌だ。
僕は頭に浮かんできた三人の男の顔を胸に刻んだ。
アイツにアイツに、アイツ…。
魂になってまでアイツらの慰みものになる位なら僕はせめてこの宿命に抗ってやろうと思った。
殺られる前にやり返す。僕はアイツらと戦う決意をした。
勿論、僕は逃げるという選択肢も十分に考えた。
しかし、戦うことがカッコいいことだと僕は思っていたので逃げることはしたくなかった。
予讐・・・。
狩られるまえに僕がアイツらを狩ってしまえばいいのだ。
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