第3章 秋入梅 ~あの時の…~

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その夜は,夕飯もそこそこに,父も母も,子猫に夢中だった。 レモンたち先住猫3匹も,珍しい生き物に興味津々の様子だった。 「ねえ,この子たちは,黒猫?」 母がそう言うと、伊葉は子猫たちの毛色をじっと見る。 「もしかして,ブラックスモーク?」 そう言われれば,しましまもあるような,ないような。 顔を見るとそんな気もするな と伊葉も思い始めた。 それから竹内家は,子猫のこと,一色だった。 毎日,授乳が必要だったが,父も母も子猫のかわいさに授乳をしたがるので,伊葉の「子育て」は思ったほど大変ではなかった。 レモンたちも近づいてきては,子猫を舐めるようになり,子猫たちは,竹内家の家族として認められたようだった。
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