第一章 転移

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西暦2019年  4月10日 それは、突然だった。 北は、千島列島から樺太、南は沖縄、そしてトラック諸島まで日本の領土全てが突如、異空間に飲み込まれのだった。 予兆がなかったわけではなかった。 1週間前から毎日、震度2~3の地震が日本各地で観測され、また前日には震度5の地震を各地方で観測されていた。 そして、今朝。 日本は異世界へと飛ばされていたのであった。 転移直後は各地でかなりの混乱が起きたが、天皇陛下が平静を呼び掛けるテレビ放送が流されたため混乱はしだいに収束した。 しかし、国内にいる外国人等による暴動も予想されたため政府は、警察と軍に治安維持の為の出動を命じた。 転移した事によってそれまで輸入していた各種資源や、食料をどうするかで政府は頭を悩ませた。 4月11日 大日本帝国 帝都 東京 首相官邸 閣議室 10時30 分 首相官邸 閣議室に集まった閣僚達。 「今回、皆を集めたのは他でもない。 この未曾有の事態に対してどう対応するかを検討するためである。」 首相の山村 元弥 総理が発言する。 「まずは、官房長官。 国内状況についての報告を。」 「分かりました。 現在、日本経済は停滞気味です。 これは、やはり将来への不安が原因であると見ています。 また、各種鉱山資源の問題も深刻です。 1年以内に各種資源の拠出源を確保しなければ、備蓄分が枯渇してしまいます。 どれだけリサイクルを徹底しても厳しいものがあります。 ただ、石油に関しては今の所、心配はありません。 北海道油田での生産量の状況は転移前と変わない量を生産してるとの報告が上がっています。」 官房長官の須賀 武司が報告する。 「そうか・・・・、やはり資源か。」 「はい、無資源国家の悲しい宿命です。 早急に拠出源を確立しなければ・・・。」 「では、次に豊田 軍務大臣。 軍による偵察の結果を教えて欲しい。」 「分かった。」 軍務大臣の豊田 副武が返事をする。
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