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「……で、そのまま琴似まで行って引き返したって訳?」
Cafe l'amourの一番奥の席。
仕事を中断し、私の話に付き合ってくれているのは香織さんだ。
彼女には、つい先日秀臣との関係を打ち明けたばかり。
「だって、まさか同じ駅で降りるとは思わなかったんだもん!」
地下鉄の車内で秀臣と鉢合わせそうになり、私は慌てて空いたシートに腰を下ろした。
そのまま2人の様子を観察していると、彼らは私が降りるはずだった円山公園駅で下車。
気まずく思った私は下車したはずの電車に再度飛び乗り、その3つ先の琴似駅で折り返した後、再び円山公園駅で電車を降りたのだ。
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