1/11
前へ
/37ページ
次へ

「……で、そのまま琴似まで行って引き返したって訳?」 Cafe l'amourの一番奥の席。 仕事を中断し、私の話に付き合ってくれているのは香織さんだ。 彼女には、つい先日秀臣との関係を打ち明けたばかり。 「だって、まさか同じ駅で降りるとは思わなかったんだもん!」 地下鉄の車内で秀臣と鉢合わせそうになり、私は慌てて空いたシートに腰を下ろした。 そのまま2人の様子を観察していると、彼らは私が降りるはずだった円山公園駅で下車。 気まずく思った私は下車したはずの電車に再度飛び乗り、その3つ先の琴似駅で折り返した後、再び円山公園駅で電車を降りたのだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加