戦闘兵の憂鬱

2/12
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
質素な六畳間、小さなテレビと棚がある。 真ん中には円卓。 隅には布団が一組敷かれている。 円卓を囲んで、四人の男達は一皿のピーナツをつまみに第三のビールを呑んでいた。 「今日は火傷したよ」 Aが腕に缶を押し当てる。 「俺は腹蹴られた。青痣出来てる」 Bが黒いピチピチの服を捲り上げると、見事な足形が腹の真ん中に鎮座していた。 Cは目の周りを腫らして、無言で缶を傾ける。 「お前ら、夜勤の俺の前で呑むなよ!!」 Dがビールに良く似たノンアルコール飲料の缶を握り締めながら叫ぶ。 B「いーじゃねーか、やっと一仕事終わったんだ、呑まなきゃやってられねーっての」 すると部屋の隅の掛け布団がすごい勢いで飛んだ。 「てめーら呑むなら違う部屋に行けよ!! なんで俺のとこ? 四日ぶりの休みなんだよ、寝かせろよ!!」 Fが絶叫する。 A「すんません……」 B「居心地いいんだよ、ここ。綺麗だし」 D「確かにBの部屋は汚い」 B「だははは~」 F「いいからお前ら帰れ!!!」 寮生活の男達の唯一の楽しみ、それはささやかな晩酌である。 Fの絶叫を無視し、夜勤のDの都合も無視しながら、寮生の夜は更け行く……。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!