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「どうした」
立って窓から外を眺めている。狙撃兵がいたら真っ先に狙われてしまうだろう、装飾がついた軍服に身を包んでいる。
返答が無いので振り返ってみると、いつもとは違う奴が扉の傍にいた。そのうち二人、三人と中に入ってくるではないか。
「マケンガ大佐ですね」
「そうだが、君は?」
民間人の装い、例の商人だろうとあたりをつけながら問い掛ける。
「クァトロのエーン少佐です」
「ほう。主を助けに現れたわけか、感心なことだな」
敵対するような雰囲気ではなかった。かといって何をどうするわけでもない。
「大佐殿、脱出の手助けをしていただけないでしょうか」
状況から考え抜いた一言を吐き出す。マケンガ大佐は品定めをするようにエーン少佐を見詰めた。
「説明したまえ。何故私が貴官らの手助けをしなければならないのだね」
落ち着き払った態度は歴戦の司令官であったことを彷彿とさせる。軍歴に於いては、島とエーンの軍歴を足したもの以上なのだ。長ければ良いわけではないが、長くなければ感じ得ないことがあるのも事実である。
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