第五章 死の囁きは永遠に

29/29
前へ
/174ページ
次へ
「勝ちか負けかわからなかったが、西門には主力が居るのだろうな。ならばそちらの勝ちだ」  程無くして中央にもやってくるだろう、そう見込みを明らかにする。 「お返事をいただけますね」 「コンゴからソマリアに流れてはみたものの、私は操り人形がお似合いだったと言うわけだ。良かろう、脱出の手引きに参加しよう」  失うものなど最早この身しかないが、役にたつというなら付き合うのも一興だと口にする。 「話はついたか」 「閣下、マケンガ大佐に協力していただけます」  私服の島が姿を現した。マケンガ大佐は物珍しそうに島を見る。これが噂のキシワ将軍かと。 「元M23司令官マケンガ大佐です」 「クァトロ司令官イーリヤ少将だ。悪いようにはしない、暫く付き合ってもらいたい」 「畏まりました」  ンタカンダ大将のような威圧感は全くなかった。ルゲニロ司教のような嫌らしさも、ンクンダ将軍のような憎らしさも。自然とそこに在って人を惹き付けるような雰囲気が感じられる。アフリカで出会ったことがない人物、それが大佐の第一印象であった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加