第六章 代償は屍の山

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「軍事教官の立場を利用して分隊を指揮する。裏切りの代償は汚名と多大なる良心の汚染だ」 「不名誉は自分が引き受けます。唯一閣下が無事に脱出出来ることのみを願います」 「良かろう。まずは根拠を得ておくとしよう」  部屋に置いてある電話で司令部に連絡をとる。中将に繋ぐよう求めると、暫し待たされた後に意中の人物が出た。 「中将閣下、マケンガ大佐です」 「うむ、何だね」 「自分も防戦に出たく思います。戦闘の許可を」 「ほう大佐がかね。危険手当ては出せぬが」 「承知しております。教官として実戦での教育の機会と捉えておりますゆえ」 「まあ良かろう、好きにするが良い」 「ありがとうございます」  裏切者が敵よりも厄介な存在なのがこれである。島は良い気分ではなかったが、全て身から出た錆だと甘受した。 「物品庫は一階の角にある」  細かい説明はせずにそれだけを口にした。何を意味しているかを悟りエーン少佐が命令する。 「一階に戻るぞ。軍服に着替えてソマリア兵に偽装する」
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