第六章 代償は屍の山

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 余程屋内の警備が少ないのか、全くすれ違うこともなく階段を下ることが出来た。途中にあった死体も回収し、例の五人が居た部屋に戻る。  丁度良いサイズの軍服が無かった者も黙って体を服に合わせ、顔料を塗りたくった。近くで見たら解ってしまうが、戦闘中視界に入る位では気付かれないだろう。 「閣下、失礼します」  首回りにエーンが顔料を塗ってやる。手袋をはめてヘルメットを目深に被ると人相が不明になった。体格が大柄なのがやや気になるが、そればかりは仕方ない。  プレトリアス兄弟四人が四方外側に位置し、残りを挟み込む。マケンガ大佐が八人を従えて、先頭を歩いた。  ――南スーダン以来の二等兵だな。自分のことだけを考えておこう。  拾った小銃は四挺だが、プレトリアスが買い付けた四挺と合わせると全員に行き渡った。勿体無いがFA-MASは分解して、部品をいくつか抜き取り破壊してしまう。  正面玄関から堂々と出ると、急遽土嚢を積んだ防御陣地にいる大尉を呼びつける。振り向くと軍事教官が居たので仕方なく駆け寄った。
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