第六章 代償は屍の山

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「さて、ここから先は貴官らの担当だ」  エーン少佐にフランス語で呟く。求めていた戦場にきている、確かにその先は己の領分だと頷いた。  ソマリア兵の防御陣地の先には、統率された黒人部隊が攻撃してきているのが見えた。島はプレトリアス族かと思ったがどうやら違うと判断する。  ――ありゃコンゴやルワンダの連中じゃないか? クァトロではなくエスコーラの指揮に従っているな。 「あれはなんだ?」  エーン少佐に尋ねる。マケンガ大佐に気をつかい、スペイン語ではなくフランス語で。 「エスコーラの手勢でしょう。ルワンダ兵を雇い入れたそうです」  ――そういうことか! カガメ大統領の手引きだろうな。えらいところに迷惑をかけたものだ。  ルワンダ兵では島を認識しないし、エーンやブッフバルトも同じだろう。誤って攻撃するのは目に見えている。どうしても通信機が欲しい、視線を流す少佐も同じことを考えているだろうか。  更に後方を見ると、車両がチラチラと姿を現す。エスコーラの指揮官――ボスがいるのが解る。
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