第六章 代償は屍の山

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「マリー少佐に繋げ」  ハラウィ少佐がロマノフスキー大佐のところと連絡を取っている間に、レティシアは現場に連絡をする。 「こちらマリー少佐」 「あたしだ。さっきルワンダ語でキシワ――イーリヤを見ろと発信があった。西側に彼奴が居る」 「なんですって! 部隊を西に偏重させます」 「どこにいるか解らん、確認出来るまであまり敵を倒すな」 「無理無茶上等!」  戦って敵を倒すなとは、余りにも困難な話だというのに彼は快諾した。 「義姉さん、クァトロですが、降下した中でルワンダ語を知るものは居ません。部員ではエーン少佐とドゥリー中尉が理解しますが、所在不明」 「なら簡単だ、そいつらが一緒に居るんだろ!」  ――やってダメなら違う手を使えば良い、呼び掛ける。 「拡声器だ、車両のスピーカーを最大にするんだよ!」  レティシアが各車のそれをリンクするように命じ、敵兵の動きを注意深く観察しろと通達を出した。クァトロの空挺兵が数ヵ所に固まり待機に移り変わる。不意に全体の射撃が途切れ、不思議な無音状態になった。
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