第六章 代償は屍の山

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 彼らの年収で二千年分に相当するのだ。今までずるずる引き下がって来ていたのが嘘のような、ギラギラとした刺すような目で歩みを進め始めた。 「ボンマ イェ! ボンマ イェ! ボンマ キラムッツ!」  ルワンダ軍大尉が奴等を殺せと大声で命じる。倍以上はいるソマリア兵に対して果敢に攻め込み始めた。手足に一発食らった位では、歯を食いしばり進むことを止めはしない。 「行け! 敵を貫け!」  後方から督戦し、ぐいぐいと地歩を得る。戦域を大きく迂回してきたラズロウの司令部が側近を伴い、レティシアの装甲車の側に付き始めた。 「中央が薄くなりました!」  ハラウィ少佐が今ならば押し抜けると戦機を知らせる。リュカ曹長が親衛隊に突入準備を命じた。 「行くんだ!」 「予備兵突入! 親衛隊に道を作れ!」  中央を錐のように鋭く尖らせ道を切り拓く。食い込んだらそれを左右に拡げ、装甲偵察車を迎え入れた。ソマリア兵は必死に応戦するが、かかっているものが違うせいだろうか、一方的に押されまくっている。
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