第六章 代償は屍の山

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 エスコーラの動きに合わせて他の地域から西側に、ソマリア兵が増援に走ってきた。攻勢ヶ所がバレてしまうと、対処されてしまうのは当然である。  厚みを増す敵に波状攻撃を仕掛ける部隊がある、クァトロ空挺グループだった。マリー少佐らが車両から西側全域に攻撃を仕掛けるのとは別、バスター大尉が目標に向けて猛烈な突撃を繰り返す。 「数が違いすぎます、こちらも囲まれます」 「んなことは解ってる、ワリーフあと少しなんだ!」  歯ぎしりして百数十メートルの距離を憎々しげに睨む。手を伸ばせば届きそうでもあり、永遠に埋まらない距離とも感じられた。  対戦車砲を担いだ兵が不意に現れ装甲偵察車に向ける。敵の射撃が間断なく行われているせいで、それを阻止できない。だが、親衛隊の一人が身を挺して兵に銃撃をする。直後に全身を撃ち抜かれた。  ――畜生、目の前に彼奴が居るんだ! あと一歩が何故抜けない!  気持ちばかりが焦る、ギリギリの線で敵は崩壊しない。勢いが失われ足が止まりそうになり危険が急速に拡大した。
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