第六章 代償は屍の山

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 東の空からヘリが一機飛来してくる。汎用の小型機なので戦闘力で言えば皆無である。乗員の中にロマノフスキー大佐が居た。無線の情報を耳にしていたが、いよいよ現場に姿を現す。  軍基地西側上空を旋回する、空から何かをばら蒔いているが中々地上に辿り着かない。どんな兵器かと双方兵等が警戒する、途中からソマリア兵に異変が起きた。 「あれは……紙幣です」 「ソマリアシリング! 敵が浮き足だってる!」  ――現金に食らいついて戦闘に集中出来てない、チャンスだ!  戦うより金を拾い集める方に意識が向き始める。我慢していた将校や下士官らも、ついに小銃を放り出して地面に這いつくばる。 「親衛隊突入!」  ハラウィ少佐が無遠慮に戦場を横切るよう命じた。クァトロ空挺部隊も同時に進出する。  邪魔をしようとするソマリア兵は数が少なく、ついには突破を許してしまう。一気に距離を詰め、十人弱の黒人グループの傍に到達した。  装甲偵察車からレティシアが飛び降り、見覚えがある体格の一人に駆け寄る。
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