第六章 代償は屍の山

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「ルンオスキエ!」  飛び付くと両手で強く抱き締めた。島もレティシアを受け止め背中に手を回す。 「メイクアップを落として再会出来ずに悪いね」  顔料で真っ黒な顔に白い歯を浮き上がらせる。すぐにマリー少佐も到達した。 「閣下!」 「おう、こんなとこまで来てもらって済まん」  無事なら結構、マリー少佐は離脱の算段を直ぐに巡らせる。 「装甲車に乗れ、離れるぞ!」 「解った」  素直に梯子を上り中に入り込むと、もう一人待ち受けている者がいた。 「義兄上、よくぞご無事で」 「ワリーフ、面目ない心配をかけてしまった」 「構いません、生きてさえいてくれたらそれで」  頷くと島は座席に腰を下ろした。マケンガ大佐やエーン少佐らは、クァトロの軽装甲車両に分乗して装甲偵察車を護るように位置した。 「クァトロ司令より全軍、装甲偵察車を全力で護衛しろ!」  マリー少佐がフランス語と英語で命令を下す、エスコーラは元よりその態勢である。敵を蹴散らし西門に向けてアクセルを踏む、同じ道でこうも勝手が違うとは驚きであった。
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