第六章 代償は屍の山

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 事件性が高い話に会社を巻き込むわけには行かない。代表としては感情より理性を優先すべき事柄だけに、島も強くは言えなかった。  ――参ったな、キスマヨで警備を集められるか? いや待てよ、貨客船に限らねばならない理由はない。 「ワリーフ、こちらの総勢は何人位だった?」  エスコーラとクァトロの合計を大雑把に尋ねる。多少違おうが全く問題ない。 「五百程でしょう」  クァトロは百人位だと計算して、死者は考えずに生の数字を答えた。  ――俺のために、申し訳なくて頭があがらん。  再度電話片手に番号を押す。無人の荒野でも使えるこいつが有り難い。 「イーリヤです、ご迷惑お掛けしています」 「友人が無事で良かった。何でも力になる」 「ありがとうございます。マルカからキスマヨに五百人が乗れるだけの船団を振り向けて頂きたいです」 「行先は?」 「マルカに戻ります」 「解った、沿岸航路を利用する。海賊に仕事を与えてくれて助かる」 「戦闘が起きたら?」 「獲物が現れたと喜ぶさ」  ――船自体が獲物なわけか、頼もしいと言うかなんと言うか。
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