第六章 代償は屍の山

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「何とか都合がついた。船酔いは諦めてくれ」  小舟ばかりだろうから揺れると前以て知らせておく。もちろん冗談の範疇と受け止める。 「カガメ大統領だがね、行先がないならこいと言っていた。お前の好きにしろ」 「知らんふりしてどっかに消えるわけにはいかんな。実はマケンガ大佐もついてきている」  ンタカンダ大将やルワンダのM23とは顔を会わせたくなかろう、一応の言葉を添えておく。 「嫌ってならマルカに置いてけ。用済みなんだろ」  ――まあそうなんだがね。自由にしてもらうとしよう。 「カガメとシャティガドゥド以外だが、糞ったれ共は皆裏切りやがった」アメリカやレバノンはともかくとして、あのニカラグアもだと吐き捨てる。「内戦を勝たせてやったのにどれだけ恩知らずだい! あたしらだって義理は筋を通すよ」  助けてくれと丸投げしたわけではなく、手助けをして欲しいと求めただけ。それなのに揃いも揃って手のひらを返すしうちだと憤慨した。  ――パストラ大統領は国を導く義務があるんだ、俺に構っていては本末転倒というものだな。
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