第七章 キスマヨ要塞戦

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「凄い、これがあのクァトロ……」  チョルテカからついてきたゴンザレス少尉、今までも見よう見真似で指揮をしてきたが、他の尉官らが連携して戦うのをこう近くで目にしたことはなかった。 「何を言ってるんだゴンザレス少尉。お前もクァトロの将校だろ」  引き上げた本人が呟きに応じてやる。彼だって皆と同じく光る部分があったから将校になれたのだ。一般の軍とは違う、クァトロは私兵だ。年次で昇格することも無ければ、候補生を育成しているわけでもない。 「はい、少佐」 「前衛、キスマヨ要塞付近はグレートに注意だ!」  マリー少佐から地雷警報が発せられる。街道に仕掛ける奴も居ないだろうが、ソマリアで常識が通じると信じるのは控えたかった。  威圧するかのように武器を見せ付けながら前進する。途中で現地人に見付かっても決して近寄って来ない。 「前衛より司令。沿岸要塞のガイドに接触しました」 「警戒を最大に、内部の把握に努めろ!」  後続にチラッと視線を投げ掛ける、やや離れた場所に装甲偵察車が在る。ただそこに存在するだけ、それだけで妙な安心感が湧いてくるのだった。
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