第七章 キスマヨ要塞戦

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◇ 「警戒班より報告。敵影あり!」  周囲に散らしていたパトロールが敵発見の急報を入れてくる。マリー少佐の権限で戦闘部隊に配備命令が下された。  要塞にアラートが響く、幹部が通信室に集まってきた。島も司令室からわざわざ出向く。 「追い掛けられるなら野郎以外でお願いしたいね」  にこやかに要望を述べながら司令席に腰を下ろす。ロマノフスキー大佐が隣に起立して状況を報告する。 「ブラヴァからの復讐部隊でしょう。千から二千あたりだとの見込みです」  マリー少佐があしらいますよ、と言うので全く気にせずに任せてしまう。一応ヘリで偵察をさせているのも伝える。 「一個師団が来ても平気だろうな。離脱のタイミングが難しくなるか」  ――今なら重傷者も助かる、何十人と命を落とさずに済む。 「守るのはどうとでも。最後の部隊が離脱するのは至難のわざですな」  ヘリが幾つかあるならばそれも可能だが、足が遅い船では沿岸で攻撃を受けてしまう。誰かが残って守らなければならない。 「ここは誰が整備を?」  放置して居たわけでないのに気付き問う。
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