第七章 キスマヨ要塞戦

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「近隣住民に管理を委託していました。くれてやっても構わなかったんですがね、管理費をもらう方が良いとかで」  ソマリアシリングなんて紙切れで良いならと、ずっと払っていたらしい。十年委託してもフランスのホテルでディナーを楽しむより安いとか。  ――すると所有権を主張しても苦情は無いか。しかしこんなモノを欲しがる奴は……居なくもないな。 「トゥルキー将軍に連絡をつけろ」 「ダー。ラブコールにあちらも懐かしむでしょうな」  ちょっと失礼。ロマノフスキー大佐が離れる。  ――船に載らない戦闘車両あたりも提供してやれば、話もまとまるだろう。 「マリーより司令部。敵の規模は千前半、動きが妙です」  少し間を置いてから有線通信でマリー少佐が再度報告を上げてくる。 「二百から三百の部隊が連合して動いているように感じられます。指揮官が不在?」 「俺だ。高級将校はエスコーラの挨拶で大分脱落したらしいからな、それが原因じゃないか?」 「中隊の連合、それなら納得です。並列した軍ほど面倒なものはありません」  連携も出来ず、命令も出来ず、そこに存在するだけ。
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