第七章 キスマヨ要塞戦

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 戦闘部隊に対応を一任しておく、エスコーラもルワンダ兵も出撃させずにクァトロのみで防戦をさせた。ロマノフスキー大佐がにやけた顔でマイクを指差している。  ヘッドセットを付けた、そこから昔に聞いたことがある声が漏れてきた。 「トゥルキー将軍だ。イーリヤ将軍かね」 「久しぶりです。色々とあってソマリアですよ」 「生きていたか、それは興味深い」 「鎮火させる代わりに洪水を引き起こす部下が居ましてね。将軍、取引をしませんか」 「援軍を求めるか? それは構わんが代償は大きいぞ」 「キスマヨ要塞と戦闘装甲車両の類を提供しますよ」 「大盤振る舞いというわけか。だが私が真に求めるものはそれではない」 「……ジュバランドの独立支援?」 「現在のソマリア連邦に何か義理でもあるかね」 「冗談がお上手だ。私に何が出来るかはわからないし、支援するかも疑問ですよ。ですが、それが地域の住民の意思ならば私は応援するでしょう」 「――ラスカンボニ旅団はキスマヨ要塞の譲渡を引き受ける。いつでも訪ねてくれたまえ」 「前の住人は速やかに退去します。次来る時は正面から堂々と」  通信を終わらせる。
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