第七章 キスマヨ要塞戦

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「警戒班より報告、北西から機動部隊が接近します」 「マリーより司令部。新手が北西から接近中」 「それはラスカンボニ旅団だ、友軍だよ」 「了解」  マリー少佐は監視だけ続けるように警戒班に命じて、ソマリア軍の動きに気持ちを戻した。あちこちバラバラで攻めては逃げるを繰り返している。  順番に倒してくれと言っているようなもので、射的を楽しむような状態だった。サイード上級曹長ではないが、これを機に訓練をしようとロケットを撃たせてみたり、何せ射撃を自由にやらせていた。 「ラスカンボニ旅団が入城します!」  要塞の内庭にあたる部分に、青い軍服の兵士が現れる。百人を少し出た位の数だ、それらが整列している。 「司令、戦場北側を機動部隊が」 「ああ、あちらが主力だな。射的も終りだ、そろそろ下がるぞ」  船団が順番に港に入ると沖に戻る、搬入作業を行っているのが見えた。半分も過ぎたあたりで通信が入る。 「マリー少佐、撤退だ。五分で乗船を終えろ」 「了解です、大佐。クァトロに告げる、撤収だ!」  携帯武器のみを抱えて小走りで港へと向かう。
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