第八章 コンゴの部族民

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 中規模の船に乗船する。今度も船団だが武装をきっちりとして、数を増やした。海賊と揶揄されるそれはゆっくりとマルカ港を出港する、行き先はマダガスカル、トアマシナ港。そして首都にあるイヴァト空港だ。ここからザンビアのルサカ空港へ入る。そこからタンガニーカ湖を渡りコンゴ、ブルンジの領域をかすめてルワンダ入りを果たす。  こうも面倒な経路を使うのはただ一つ、島が国際指名手配になっていて空路を自由に使えないからだ。その点、マダガスカルとルサカの間は情報のやり取りが少ない、国同士で仲が良くないのだ。また国際的な取り組みに迅速に対応出来るほど官憲が熟練していない。シャティガドゥド委員長の助言であった。  海を眺めながら随分なことをしているなと島が自嘲する。 「またかい、気にするな」 「ああ、悪いね船旅が豪華客船じゃなくて」 「ヴァイキング気分に浸れる、これはこれでいい」  近くを通りかかる船が大慌てで逃げ出す、その様が面白かったらしい。もし自分が逆の立場なら確かにそうするだろうと考えてしまった。
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