第八章 コンゴの部族民

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 ムウルングはザンビア唯一の港町だ。そこには数は少ないが漁船も停泊している。レティアの一声でそれらの船が全て買い上げられた。新品を新たに購入できる額で、だ。漁民は舞い降りた女神に祈りを捧げ十字を切る。 「フィジ周辺は危険です、ウヴィラまで行ければ平気かと思います」  フィル上級曹長が注意してくる。ロマノフスキー大佐もブッフバルト大尉も居ないので、ここで作戦した彼がレティシアに助言を。コンゴで首相が邪魔をしてくる可能性があると示唆しているのだ。 「ブルンジ側を航路にしてはいかがでしょうか?」 「漁船だ、出来るだろうね。さっきの船頭ら引っ張ってきな、一人千ドルだしてやるよ」  彼らの年収と同等かやや上、先ほど現金を手にしていた男達が大急ぎで参集した。話を聞けば許可証があれば侵入も可能らしい。窓口になっているマリー少佐に、レティシアがそうしとけと目で語る。  ――ドル札は怖い。 「閣下、ンダガク族の警備隊をキリバ南東四キロ、国境で待機させます」 「ああ、エーン頼んだ」  キリバがどこかは知らないが、任せておけば問題あるまいと頷く。一行はまたもや船団を組んでタンザニア側の水域をブルンジまで進む。
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