第八章 コンゴの部族民

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 高速のモーターボートが数艘で銃撃を行って来る、それに応射することで戦闘は始まった。機関砲を放たれる、漁船の腹に穴が開いて沈没した。兵が漂流するのを漁船が拾って回る。  ――武器の質に開きが! だが泣き言を漏らしている場合ではないぞ! 「ビダ先任上級曹長、あの高速小型船の乗員を全滅させて奪取するぞ」 「ヴァヤ」  差があるならそれを埋めたら良い。武器が無ければ目の前にあるのを奪えばよい。クァトロは敵の船を沈めるのではなく、乗員を集中して射撃するように命じた。薄暗い中で勝手が違う水上、命中率は極めて低い。  交錯する船、それぞれが接近したらクァトロが有利になるが、相手もそうはさせない。苦手な距離を見つけるとそれを維持しようとする。  船頭らに動揺が走る、戦いに巻き込まれるとまでは考えていなかったのだ。次第に顔色が悪くなる。 「生きてても死んでても、最後まで操船してたら一人五万ドルくれてやる!」  ――その位の手形は切ってやろう。ボスも承知してくれるさ。  五万ドル、それだけあれば一生家族を養える、どころか好きな人生を送れる。船を買い上げ現金を手にし、また日当も先払いしてくれた信用は絶大だ、マリーの煽動に彼らは大いに乗った。
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