第八章 コンゴの部族民

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 両翼が延びて行く、防御は一切考えていない。小船が一隻沈没した、乗員は湖に飛び込む。高速艇が二手に分かれて司令船目掛けて機関銃を撃ち込む。 「突入!」  ゴンザレス少尉の船団が真っ直ぐに司令船に向けて進んだ。正面投影面積が少ない、左右からの圧迫で射手も落ち着かなかった。先頭のキール軍曹の船が直撃を受けて沈む、委細構わずに残りが突き進んだ。 「全力で射撃を行え!」  マリー少佐が射程内に入った瞬間に撃ちまくれと命じる。次第に弾幕が厚くなっていく。護衛の小船が接近してくるが船体を擦りながらも進む。そしてついに司令船に舳先をぶつけた。 「乗り移れ!」  甲板の高さがかなり違う。だが投網を舷側に引っ掛けて梯子のようにした。その昔島がコラムを見たとの話がグロックに伝わり、兵営でも教練に出てきていたのをビダ先任上級曹長が思い出したのだ。 「操舵室を占拠しろ!」  果敢に撃ち返しながらキラク伍長が乗り込んでいく。ビダ先任上級曹長も小銃を手にして交戦する。下手に司令船に向けて撃てない敵が動揺した。やがて操舵室にも銃声が響く。
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