第八章 コンゴの部族民

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「司令船を占拠した!」  船の上にクァトロの軍旗が翻る、群れていた小船が散っていった。一部が一発逆転を狙い北上する。 「取り逃がした!」  戦闘可能な漁船に後を追わせる。漂流している者を回収しながら統率を回復していった。  後ろに控えていたオリヴィエラの船団から小船が数艘突出する。乗っているのは一人のようだ、前面にガチャガチャと鎧のようにプレートを付けている。激しい銃撃が向けられるが無視して直進、ボチャンと何かが湖に落ちる。そのまま船同士が衝突すると爆発した。 「自爆か!」  ――やることがエグいな! だがソマリアでもそうだった、これは戦いだからな。  第二陣が突出すると小船が進路を西へ変えてコンゴ方面へ離脱していく。どうやら自分の命は惜しいらしい、狂信者が相手では分が悪いと考えたのだろう。 「漂流者を全員回収したら整列だ。合流するぞ」 「エスコーラよりクァトロ。マラヴィリョーソ! 先に北上しろ」 「クァトロよりエスコーラ。向こうで浴びるほど飲もうじゃないか戦友」  悪党同士通じるものがあったのだろうか、声だけでやけに表情が見えてしまったマリーであった。
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