第八章 コンゴの部族民

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 野砲が放たれる、空砲だ。今回は仕方がない、覚悟していたがやはり盛大な歓迎祭が催されてしまっている。  ――好意だと受けとるしかあるまいな。 「ブカヴ及びンダガグはキシワ将軍のご降臨を御祝い申し上げます!」  プレトリアス郷での歓迎度合いを見たことが無い連中が驚愕する。特にバスター大尉らのフィリピン三日月島グループは、一体何が起きているのかと考えが纏まらなかった。 「出迎えに感謝する。私はこの事実を忘れはしないだろう」  民兵団が捧げ筒で入城を彩った、ここは島の王国である。そう彼が求めずとも奇跡を体験した者にとって、キシワ将軍とは神と同義なのだ。アフリカの土着宗教の一派になるまでさほど遠い未来ではない。 「遠路お疲れでありましょう。細やかではありますが、食事の準備をさせていただいております」 「済まんな、言葉に甘えさせてもらう。マリー少佐、部隊を任せるぞ」 「ウィ モン・ジェネラル!」  誇らしかった、自らが上官と仰ぐ人物がこのように迎えられて。何があろうとついて行くと決め、今は支え、後々は押し上げたいと感じるマリー少佐であった。
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