第九章 ルワンダの星

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 マリー少佐とラズロウの指揮車両が前進する。前衛部隊の指揮官が更に前に出た。島とレティシアの周りは、エーン少佐直属とゴメスの護衛部隊、ハラウィ少佐の親衛隊が囲んでいる。  ――ンクンダ将軍は出てこないか、危ない橋を渡りはしない。昔は違ったがね、掴んだものを離したくないのは俺と同じなわけだ。  小さく笑う。喪うのは己の命だけ、何とも気分爽快戦えたあの頃が懐かしい。 「ルワンダの都市部は結構な都会だね」 「環境次第だが案外悪くはないな。もっとも居場所は荒れ地になりそうだが」 「街がないなら作ればいい。違うかい」 「なるほどな。レティアの言葉がすんなりくるね」  ――いつ許されるとも知れないなら、間借りするより一からか。悪くないな。  ンダガグ市を作ったように、ルワンダの片隅に居場所を作る。無いところに仕事が産まれるわけだから、総じて歓迎されるだろう。  離れたところで銃撃戦が始まった、ここまでは弾丸が飛んでは来ない。それでも兵にしてみれば、近くに司令官が居ることで士気が上がる。
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