第九章 ルワンダの星

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 何事も無く、そういつもの感覚で上手くやるだろうと二人は戦闘を眺めていた。だが一進一退を繰り返す様を見ているうちに違和感を抱く。  ――なんだ? 何かがおかしい。  レティシアも怪訝な表情を浮かべた。島は直感を信じて命令を下す。 「イーリヤから緊急命令だ、全軍東へ四百メートル移動しろ!」  ――何かがおかしい、なんだこの感覚は!  防御を解いて居場所をずらす、隙が出来たがそれは数分で埋まる。ンクンダ軍が行き先を制限するような布陣に切り替わる。 「ボス、何かありましたか?」 「マリー、変な感じがする。あいつらどうして積極的に攻めてこない」 「戦力に差があるのにおかしいですね。何かを待っている?」  指摘されてマリー少佐も何かが変だと感じた。押せば引き、引けば押してくる。時間稼ぎをしているのが明白だ。 「警戒班より報告、東四キロ地点に伏兵!」 「西部警戒班より、市街地からコンゴ軍が現れました!」 「上空注意、戦闘ヘリです!」 「面白くなってきたじゃないか」 「包囲殲滅か。いつからあいつ等は手を組んだんだか」  ――大人しくやられるつもりは無いぞ!
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