第九章 ルワンダの星

9/15
前へ
/174ページ
次へ
 二級民兵なのだろうか、いくら劣勢になっても撤退が許されない。次第に攻撃している方が気分が悪くなってきた。 「人命の軽さはアフリカ隋一だな」  渋い表情の島だが戦闘を停止させはしない、相手が止めるまで攻撃するのは常識だ。ラズロウは平気だがマリー少佐は胸が苦しかった。 「ボス、まだ継続でしょうか?」 「お前はどうしたいんだ」 「……」    明確な返答は無かった、だがそろそろ潮時だろう。国連のキャンプも混乱を抜け出したように見えた。 「レティア、すまないが殿をそちらで頼む」 「ふん、坊やはまだ日陰を歩くのが怖いようだね。いいさ。ラズロウ、お前が殿だよ!」 「シ ドン・レイナ」  年季が違う、歩んできた道が。何もそれは悪いことではない、適性の問題でしかないのだ。 「マリー少佐、離脱だ。お前が先頭を行け」 「……申し訳ありません」 「謝ることではない、お前はよくやったさ。それは俺が認める」 「はい……隊列を整え離脱するぞ!」  黒い軍服の集団が東へ向かってゆく、全体が徐々にキャンプを離れる。国連軍もそれを引きとめはしなかった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1656人が本棚に入れています
本棚に追加