第九章 ルワンダの星

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 道無き道を進む、現地でコリンバグと呼んでいる丘陵地帯、そこで警戒班が警告を発した。 「コンゴ・ゴマ連隊旗を確認!」 「おいおいしつこい奴等だな、逃げたんじゃなかったのか?」  それとも伏兵の後ろに控えていたのだろうか、いずれにしても現実としてそこに敵が居る。 「クァトロ、戦闘準備!」  マリー少佐の号令が響く。軍隊同士の戦いならば何も思い悩むことは無い、だが武器弾薬が残り少なくなっていた。 「偵察より報告、およそ一千。重武装の大隊の模様」  これを突破するのは楽ではない、普通ならばあっさりと返り討ちにされるだろう。島が全体の状態を確かめる。  ――疲労の面ではそこまででも無いが、負傷が多い。それに武器が貧弱で弾丸が足らないな。だが俺は部下を信じて仲間を信じる。こうなると想定は可能だ、ならば対応もするだろう。  丘の上を占拠してゴマ連隊が攻めてくるのを待つ。あちらも黙ってお見合いすることは出来ないらしく、ゆっくりと進んできた。やがて射程に収めた敵が撃って来る、だがマリー少佐は発砲許可を出さない。
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