第一章 自宅は海辺の丘に

13/21
前へ
/174ページ
次へ
 会議の他にラ=マルカにも、港湾の組合にも顔を出さねばならなかった。それぞれにどれだけ時間が掛かるかはわからないので、予備として二日も余計にみている。  ――他にやることもないし二日前後したからと何の心配も要らん。 「任せた。じゃあ行ってくる」  妻子に口付けをしてゲートを潜った。毎日のようにそうしていた日々は過去にどれほどあっただろうか。サルミエも一礼して後を追う。  座席についたところで今後の目安にと幾つか確認をしておくことにする。 「ボス、三日月島の方針ですが、いかがいたしましょう?」  ――海賊を排除するための外堀を埋めねばならんな。 「これが終わったらベトナムへ行こう。当局の不干渉を取りにいく」  協力は無理だろうと見ているので、せめて敵対しないように中立を約束させようと考えておく。それとていつ反故にされるかわかったものではないが、それでもやらねばならない部分はあった。 「野党の有力者にもコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか?」  国内の反対勢力、そこへ手がかりをつけておけばいざという時に役に立つこともある。保険の一種だろう。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加