第九章 ルワンダの星

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 ――耐えきったか!  大爆発が起きる。大隊の背に向けて砲弾が叩き込まれた。水色黄色緑の旗を翻して車両が丘を駆ける、無線から景気が良い声が聞こえた。 「国境侵犯のコンゴ軍に告げる、待ったなしで殲滅だ!」  憎いコンゴ軍へ向けてルワンダ軍が襲い掛かった。多くのルワンダ軍旗に紛れて、ポツンと一つだけ黒い旗が混ざっている。 「最高のタイミングでの出迎えだよ兄弟」 「盛り上がったところでの登場、いや気分が違いますな」  マリー少佐が今までよりひとまわり小さな円形陣を作って乱戦に飲み込まれないようにする。一つの丘が陣地になる、そこを避けて砲撃が行われた。生き残りのルワンダ兵が国旗を手で振った。あれだけ居た傭兵が、今は二十人前後しか残っていない。  指揮車両が丘に登ってくる。道を開けて招き入れた。緑の軍服の大佐が下車して島に向かって敬礼する。 「カガメ大統領閣下の命でお迎えに上がりました!」 「ご苦労だ、大佐の援護に感謝する」 「自分はもう少し追撃を行うので、どうぞこのままお待ちを」  元気なことは良いことだ。島は苦笑して大佐を見送った。
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