第九章 ルワンダの星

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 散々追撃して戻ってきたのは一時間後、すっきりした表情の大佐が首都キガリまで案内をする。重傷者を近くのギセニ市に運び込み、一行は全員乗車した。  一号公道を堂々と進み市内中心部へと入る。大統領官邸前まで乗り付けると全員が下車した。幹部の四人、島、ロマノフスキー、レティシア、ラズロウのみが中へと入る。 「やあイーリヤ君に奥方、無事で何よりだ」 「閣下、ご迷惑をお掛け致しました」 「構わんよ、君は大切な友人だ」  黒い顔に白い歯が輝かしい。国際犯罪者がそこに存在しているだけで国家にマイナス要素がある。だが大統領はそんなことは全く気にしなかった。 「カガメ大統領、あんたはいい買い物をしたよ」 「そうだろうそうだろう。イーリヤ君は政治家でも官僚でもない、実はどこの国とも揉める事はないがね」  亡命とは言うが区分的には難民に当たる。ただ高級軍人なので官僚と言えないことも無い、軍籍がどこにも無い高級軍人ではあるが。 「居場所を与えていただき感謝します。落ち着いたらムブンバと公道五号が交わるあたりに駐屯したいと考えております」
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