第一章 自宅は海辺の丘に

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「アロヨ警視監の助言を得ておこう。フィリピンとして繋がりが欲しい者も居るかも知れないからな」  出撃拠点の都合からあまり迷惑もかけられないので、可能な部分では彼の意思を盛り込むことで合意していた。もっとも現在のところほぼ全てが同じ軸だったので不都合は無い。 「国連の理事会でニカラグアへの介入が取りざたされているようです。アメリカがこれを否定しているようですが、ロシアと中国の提言で事態の掘り下げが叫ばれています」 「参ったな、だがあの国連という組織は実効力がない。ロシアの嫌がらせは警戒すべきだろうな」  いずれにせよ拒否権がある限り、常任理事国が不利になるような案件は全て廃案にされてしまう。弊害である。だからとこれが変更されることはおそらく無い。 「パストラ大統領が内戦の詳細を隠蔽するのに苦労しているとか」  ――それはどうしよもない、閣下に尽力してもらうしかないからな。  空軍の侵犯あたりは屁でもない、隣国からの物資流通でもない。最大の不都合は誰でもない島の存在であるのだ。アメリカ軍に在籍していたという部分、これが一番炎上をおこしそうな箇所であった。
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