序章 世界の裏切り

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 黒檀の机。一昔前には一般企業の社長室にあっても珍しくはなかった。  今や需要が右肩下がりで滅多に見掛けない、トレンドの変化と値段が当然の結果を導いている。  その机がある部屋に数人の男が集まり、何事か不穏な話を展開していた。 「連邦など話にならんよ。奴等はアメリカの顔色を窺うだけの小役人だ」  不機嫌そうに語る壮年。主座ではないが発言力が高いのか、それに反対する者は居ない。 「だが昨今勢力を強めてきている。我々は拮抗しているうちに手を打たねばならないだろう」  反対に座する老年の男が諭すかのように提言する。政治家なのだろう、我を通すために和を求めているのだ。 「物が流通するのはアメリカのお蔭、そんな考えが広まっては困る。国連の名前を全面に押し出すのを忘れるな」  また別の者が詳細を口にした。そのような触れを出せるくらいの地位に居るのは疑いようもない。  ずっと押し黙っている上席者が初めて口を開いた。 「我々の巨大な敵がアメリカ大統領なのは変わらない。しかし、不都合な者はまだまだ存在している」
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