第一章 自宅は海辺の丘に

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 急報を受けてゴメスがビルに戻ってくる。 「ドン、ご無事で」 「おう。マフィアはどうした」 「全滅させました。二人はまだ息があります、背後関係を吐かせてから晒します」  当然だろうとの顔で返事をした。敵対者に一切の情をかけはしない。 「殺すつもりなら家にロケットをブチ込むだろうから、あたしに用があったんだろう」  無論友好的な何かな訳がない。そして相手が誰か解って仕掛けてきたのだ、これだけで終わりのはずもない。 「拠点を遷します。何か邸宅から持ってくるものがあれば取りに行かせますが」 「彼奴の軍服や勲章の類いを。他は無い」 「シ」  部下に命じて回収に向かわせると同時に、防弾ベンツを複数用意させる。レティシアをそれに乗せ、従兄弟に指揮を執らせた。 「お前はどうするんだ」 「どこのどいつか知りませんが、一発やり返してから向かいます」  やられっぱなしで逃げたとあっては面子に関わる、そう言って残ると告げた。 「合流先で待ってる、すぐに来いよ」 「シ ドン・プロフェソーラ!」
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