第二章 仲間の絆

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 百キロ近くを移動して山間の農場に入る。偽装されたそれは一般的な果樹園に見えるが、実際は要塞のようなものであった。  場所を任されていた奴がゴメスファミリーのカーポがやって来て驚き、ドンの来訪だと告げられ腰を抜かした。 「一応ラズロウにも知らせておけよ」  彼女が命じたのはそれだけで、あとはゴメスの従兄弟に任せてしまう。考え直し手伝いの女を一人要求した。  ロサ=マリアの世話をするために部屋に篭る。近所の老婆がやってきて身の回りの雑用を引き受けてくれた。農場の持ち主の親戚である。  待つこと数時間、ヘリコプターでゴメスが合流してきた。 「ドン、敵はシシリーノストラファミリーの枝です」 「首尾は」 「そのボスの自宅を爆破して拠点三つを炎上させてきました」  マフィアの中のマフィア、そう呼ばれてどれだけが経ったか。世界に枝組織があるが基本はファミリーごとの勢力である。 「動機はなんだったんだ」 「それが、捕らえろと言われただけのようで。現在拷問にかけている最中です」
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