第二章 仲間の絆

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 ――あたしを人質に? だったらどっかの金持ち相手にしたほうが賢い。目的はあたしをダシにして、別のところにある。  自身が人質として有効な相手、エスコーラ以外では夫しかない。 「ラズロウからは?」  ゴメスが従兄弟に視線を移すと「異常はないとだけ」簡潔に答えた。 「他のボスにも確認してみます」  時間の都合はあっても三十分掛からずに全組織で、そこまで大きな争いを抱えていないと答えが出てきた。 「サルミエ大尉に連絡してみるんだ」  連絡係に直接命じる。だが各種の通信機が一切繋がらない。 「彼奴のはどうだ?」 「繋がりません」  ――そこが原因か! 「オリヴィエラを」  マルカに居る奴をコールさせる。 「彼奴は着いているか?」 「ドン、それが便が空港に入ってこないままです。どうやらブラヴァあたりに着陸したようで」 「なんだって! お前は全力で捜索するんだ」 「シ ドン・プロフェソーラ」  情勢が動いているのを確認した彼女は、島に最も詳しい男にも連絡をとることにした。
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