序章 世界の裏切り

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 個人であっても必ず敵は存在している。それが組織や集団ならば反対に属する何かが無いわけが無いのだ。 「ブラックリストには序列が御座いますが」  排除するべき優先度、それだけでなく成功時の報奨まで並んでいた。  一位のアメリカ大統領など金額の零が多すぎて幾度か確かめる必要すらある。 「この地だけではなく、世界各地で邪魔をしてきた経歴の持ち主。この者だが」 「ルンオスキエ・イーリヤ将軍ですか。ニカラグア国籍の東洋系らしいです」  顔写真すら無いのだ。だがしかし様々な結果を残してきている人物なのが解る。はっきりとはしないが、日本人ではないかとの見立てもあった。 「マルカの件で連邦に意趣返しをしたり、アジュラで交換条件を飲んだりと、多少は話が通じるのではないか?」  事実一切の交渉に応じない米英あたりとはかなり毛色が違った。 「ですがそいつは自発的に敵対しております」 「罪には罰が必要だろう、それに違いはない。だが選択肢はそうまで狭くはないとみえる」  考え直しをしろとの判断が下された。
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