第二章 仲間の絆

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◇  フィリピン三日月島。アロヨ大統領の縁続きであるアロヨ警視監の好意で、クァトロが拠点を構えている。規模はかなり大きくなり、常備だけで二百人近くにまでなっていた。  マリー少佐を司令に戴き、陸上・水上の部隊を抱えており、外局に情報部を置いている。 「やることはやった。そろそろ海賊退治の指示がくるはずだ、下調べは済んでいるな」 「調査済です。遠洋にでも行かれない限り、逃がしはしません」  本来突撃任務に適性があったはずのブッフバルト大尉だが、あまりにも先頭で乗り込む癖が抜けずに、副官としてロマノフスキー大佐の傍に在るようになっていた。義務感が強すぎる、そんな見立てを島に告げられてもいた。  ――ちょっと根回しとやらを代理でやっておくとするか。俺も役目が変わりつつある。  内戦ではまだ幾つか実務を担当したが、いよいよ島の担当が君臨するのみとなってきた。ならば自身が全てを整合させなければならなくなる。 「アロヨ閣下にアポをとってくれ」 「ヤー」
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