第二章 仲間の絆

6/19
前へ
/174ページ
次へ
 大尉が退室すると、入れ替わりでマリー少佐がやってきた。今や実戦部隊のトップとして、尊敬を一身に受ける若者である。バスター大尉らの後発組も、レオンやマナグアでの実績を聞いて完全に心酔していた。 「いやぁ、争いがあればあった、無ければ無いでどうして書類が山になるのでしょう?」  デスクワークは苦手だと愚痴りに来たらしい。用件が別にあるのはさておきネタに乗る。 「知らんのか? 小憎たらしい将校を困らせるためにあるんだぞ」  遥か昔に島にも言った台詞を思い出しながらにやつく。その点でブッフバルト大尉は苦にはならないらしい。 「一生ものでしたか、いやはや残念。時に入隊希望者に日本人が居たのですが」 「誰だ、一ノ瀬か、それとも御子柴か?」  それ以外では全く記憶になかった。一般入隊など皆無なので彼の情報能力云々ではない。 「それが石橋なのですが、部隊の先任らも知らないようでして」  ――ボスの親戚? いや、誰一人としてクァトロは知らないはずだ。確認してみるか。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加