第二章 仲間の絆

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 部下を一人呼びつけ、何か連絡があり次第教えるように携帯を握らせる。 「クァトロの奴等が動く。あたしも近くに本部を移すとしよう」 「どちらに向かいましょう」  マルカのオリヴィエラが妥当なところだろうと、半ば答えを解っていながらに尋ねる。 「マルカだ。だがその前にルワンダに寄る」  何故ルワンダなのか、少し考える。人だろうと当たりをつけて話を進めた。 「オリヴィエラに受け入れ準備を手配させます。すぐにルワンダ行きの用意を」  農場は従兄弟に任せて本部移設後に引き上げさせるつもりだ。シシリーの連中から逃げたと思われるのは腹立たしいが、優先すべきを取り違えたりはしない。  全ては仮定の元に進めているが、どうにも最悪が現実になりそうだとの空気が流れる。 「彼奴はどんな苦境でも乗り越えてきたんだ、今回だってそうだろ」 「コンソルテならば心配は御座いません」  長いこと付き従ってきたゴメスが初めてレティシアの弱気を見た。一種の衝撃が心中に走り、次いで謎の怒りがこみ上げてくるのだった。
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