第二章 仲間の絆

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 所在を掴むためにルワンダ大統領府に連絡を入れるだけ入れていた。だが入り口で足止めされてしまう。 「フロア責任者を連れてこい」  そう命令し、やってきた責任者に札束をぶつける。 「カガメ大統領に至急面会だ、レティシア・イーリヤだと伝えろ」 「は、はい、イーリヤ様」  それだけ伝えたら仕事を辞めて外国で暮らそうと、札束を大切に懐にしまいこみ、緊急事態だと大統領に捩じ込んだ。その後に彼女が執務室に入るのを確かめると、黙ってそそくさと帰宅してしまう。  イーリヤ氏と言うから島かと思っていたら、その妻だったので早とちりを認める。 「やあ奥さんでしたか、いかがいたしました」  にこやかに挨拶をして、大統領が一個人の話を聞こうとする。 「旦那がソマリア軍に拐われた。鉄砲玉を買いにきた」 「何と彼が? それはお困りでしょう。してその弾丸ですが――」 「一発一万ドル出す」  際どい会話を全く怖じずに一方的に進める。鉛弾ではないのは初めからわかっていた。 「軍人である必要は?」 「無い。だがイスラム教徒はお断りだ」
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